結婚指輪
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ところがだ。それからが、よくなくなってきちゃった。なにせ、古新聞なんてどこの家にだってある。車とはちがう。一家に一台なんてもんじゃない。おじいちゃんからおばあちゃん、赤ちゃんの分だってあって、まだ余ってる。しかも免許なんて、めんどうなものもいらない。
だから、あっという間に広まった。みんながみんな、古新聞に乗って出歩いた。みんながぼくたちの真似をした。
しばらくすると、空にも道ができた。道路標識みたいなやつが宙に浮いた。信号機だって、プカリプカリと宙に浮いた。いろんな規則も次々にできた。
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とうとう大ラッシュがはじまった。とくに朝が大変だ。渋滞なんてもんじゃない。みんながみんな空の上で混雑していた。その上、そこに雨でも降ろうものなら、大変な騒ぎになった。
もっともその頃は、ぼくたちはもう古新聞に乗らなくなっていた。ママもぼくもテクテク歩いた。パパも以前のように、バスや電車で通勤するようになっていた。そりゃそうだ。だって、そのほうがぜんぜん早いだもの。
おしまい
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