2008年8月28日木曜日

りっぱな、森の週刊誌 6

足取りも軽く歩いていくと、花さく丘にピョン子がいる。コンコン村のキツネ村長の息子との結婚をひかえている、あの耳長ウサギのピョン子である。たくさんの花に囲まれて、なにか物思いにふけっている。その姿がじつに美しい。花なんかに負けてない。

「ピョン子さん!」
 チュー助は声をかけた。幸せなピョン子にたった一言、おめでとうが言いたかった。
「森の週刊誌で読みましたよ。お幸せに!」
 けれども、チュー助に向けたピョン子の顔は、なぜか沈んでいる。やけに表情が暗い。
「森の週刊誌で?」
と、浮かない顔のピョン子が聞き返した。

「ええっ、そうです」
「あんなもの、なにもかも、ウソだわ!」
「なにを言っているのですか。大変に権威のある、りっぱな森の週刊誌なのですよ」
「だって、ウソばっかりだわ!」
と言った、ピョン子の目から、涙があふれ出した。

「そんなことないですよ。あなたのことだって、喜ぶべきだって、ちゃんと書いてあるじゃないですか」
 チュー助は困った。週刊誌によると、ピョン子は幸せいっぱいのはずだ。なのに悲しそうに泣いている。これは変だ。これでは、森の週刊誌の権威にかかわる。これは、おかしい。絶対に、おかしい。ピョン子は、喜ぶべきなのだ。

 バサバサと羽ばたく音がする。空から下りてきたのは、カラスのクログロおばさんだった。
「あらまっ、また泣いているのかい。もう、いいかげんにおしよ。おまえは幸せのはずじゃないか。りっぱな森の週刊誌に、そう書いてあるのだから」
「それが、どうして泣いているのだろう?」
と、チュー助が口をはさんだ。

「わがままなのよ、この娘は! “真実は別にあるの”、とかバカなこといって、あんなにもりっぱな森の週刊誌を読まないのだから」
「なんだって!」
 チュー助はあきれた。権威ある、りっぱな森の週刊誌を読まない者がいたなんて、信じられない。それに“真実は別にある”って、どういうことだろう。りっぱな森の週刊誌以外に、どこに真実があるというのだ。


    つづく



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